あだちです。丹波市に気になる人がたくさんいます。
普段なかなか関われない方々に、意外な切り口でインタビューをしてみたいと思います。
はじめての今回は、丹波市で活躍するお坊さんに聞いてみました。
「ご住職のクリスマスの過ごし方は?」
このインタビュー大丈夫?っていう、仏教の懐の広さを感じるほっこりトークをお楽しみ下さい。

河口住職(以下、河口):
さて、これはなんのインタビューですか?
記者あだち(以下、記者):
丹波篠山まめつーしんのインタビューです。
丹波周辺の面白い人を記事にして、全国に発信!って。
河口:
え、これ全国に届くの?
めっちゃ・・・嫌やな・・。

記者:
ちょっ・・・なんでいきなりそんなクローズなんすか(笑)
ただでさえ宗教離れって言われてんのに、檀家さん減りますよ。
河口:
君いきなりキッツイこと言うなあ!だって変なこと言われへんやん!
記者:
いや、だって変なこと言わなきゃ良いじゃないっすか(笑)
お坊さんにとってのクリスマス
記者:
さてさて、それで、今日は時期が時期だけに、
「お坊さんはクリスマスをどう過ごしてるの?」
というのをお二人にお聞きしたいなと思ってやってきました。
荒木住職(以下、荒木):
ああ、それは良い質問ですね~。
普通はそんな質問しませんよ。
・・・ややこしくなるから(笑)
記者:
いやー、まあ仏教徒としてはキリスト教の行事に対して、
どういう関わりを持ってらっしゃるのかなあと気になりまして。
なんか敵対するとか、ライバル視するとか、そういう俗っぽ~い
宗教間での対立みたいな考えがないかなあと。
荒木:
無駄に荒波を起こそうとしていますね。
いやー、まあ。でも。
ただ過ぎ去るのを待つ、です。
ほんまもうさっさと終わってくれへんかな~って
ただひたすら終わるのを待ってますよね。

記者:
ははぁ・・・そうとうつまんないみたいですね(笑)
荒木:
いやいや、そういうわけじゃないんですけど!
だってね、ウチはこれから除夜の鐘があるしね~。
年末の境内の大掃除もせんならんしね~。
そうそう浮かれてらんないよね~っていう気持ちで。
まあでも小さい時には、まあクリスマスの恩恵に預かることもありましたね。
お坊さんはサンタを信じていたか。
記者:
プレゼントもらってたりしたわけですね。
小さいときには、サンタさんを信じてましたか?
河口:
信じてましたよね?
荒木:
ええ、小学校の低学年くらいまでは。
河口:
ただ、自分が思ったモノが届かなかったときに、
サンタさんはいないと思いましたよね。
ちぇ、親だったのか、と。
自分の欲しいモノが届かず、意図的なプレゼントが届くんですよね。
これはサンタの仕業じゃないんだなと子供心に理解しました。

記者:
可愛げのない現実的な子どもですね。
河口:
だまらっしゃい。
まあでも、12月25日は僕の誕生日なんですよ。
記者:
まじっすか。お坊さんらしからぬ。
そもそも顔がクリスマスっていうのと・・・

河口:
失礼やな、ほっといてくれるか!(怒)
親父が熱心でね、モミの木わざわざ切ってきて、
毎年我が家には手づくりのクリスマスツリーが飾られてましたよ。
クリスマスだけはアイスクリームケーキを買ってくれてね、これが旨かった。
荒木:
そうそう、アイスクリームケーキ。ウチのオヤジも買ってくれたなあ。
河口:
ちゃんと寝たら、クリスマスプレゼントもあったんですよ。
だから、素晴らしい行事だったなあと思いますし、
年中行事として重要なものだと思っていますよ。
クリスマスは、宗教背景がありますけど、実際はもはやクリスマスって
「聖なる夜」だって言っても、恋人を誘う口実がほとんどですからね。
これにかこつけてみんなイチャイチャするわけだし。

記者:ミもフタもないですね(笑)
浮かれない仏教
河口:
でもクリスマス終わったら、やっぱり年末モードですよね。
クリスマスまでは若干浮かれてますよね、僕なんか誕生日だしね。
でもそれが終わったら、シャキっと心を入れ替えて
年末年始の行事に向けて、それまで以上に励みますね。
荒木:
河口さんとは違って、私は兼業で住職をしているわけですが、
仕事納めを待ってたら間に合いませんもん。
ウチはオヤジも中学校の教師で兼業住職してましたし、
その姿を見てましたのが、自分も気付くと同じような過ごし方をしてますね。

記者:
仏教には、そうした浮かれた行事がありますかね?
河口:
仏教だと・・・4月8日の花祭りですかね。
お釈迦さんのバースデイですね。
仏事のなかでも慶弔行事があるとして、慶の分野ですね。
記者:
知らないです。ぜんぜん。
河口:
せやから、地味やねん。
荒木:
まあ、クリスマスとかね、バレンタインデーとかね、
なんか商業ベースには乗っからないのが仏教かな、なんて思いますね。
いや、乗っけてもらえない?いやいや、乗っからない?
河口:
ヨコ文字のオシャレな感じもないですからね。
「はなくそ団子」っていう、小さい団子をつくって食べるとか。
記者:
え、汚い!鼻祭りってことですか!やだ、汚い!
河口:
ちゃうやん!そういう小さいサイズやっていう意味ですやん!
記者:
え、でも正式名称は?
河口:
はなくそ団子。
記者:
きたなっ!
河口:
怒られるで、君!ほんまに(笑)
地元ではそう呼んで毎年つくるんや。
カラフルな鼻くそ団子をね。
何百人分の鼻くそ団子をね。
記者:
絶対住職の方が怒られるべきですよ。
クリスマスの残念な想い出
記者:
お二人はクリスマスの残念な想い出はありますか。
河口:
これ全国ネットやもん。困るんやけどな。
記者:
期待しちゃいますね。
河口:
若い時のことやからね、若い時のこと!!
クリスマスにかこつけて、うまいこと誘い出せて
彼女と仲良く過ごせたのは良かったんやけどね。
夜中に大雪が降って、車がぜんっぜん動かせへんようになってね。
次の日にお仕事でお葬式があったんやけど、えらいことになった!と。
すぐオヤジに電話して、葬式行かれへんって伝えたんやけども。
「どこにいるのか。なにをしているのか。なぜ葬式に出れないのか。」
というのをひとつも答えられへんくってね。

あ・・れは・・・焦った。
さすがにオヤジにはすべてを言えへんかったね。
記者:
いやあ、めっちゃ俗っぽいすね。それこそ因果応報っていうやつですね。
河口:
君がうまいこと言わんでええねん。
記者:
荒木さんはどうですか?
荒木:
僕ですか・・・。クリスマスは高くついたかなーというのが想い出ですかね。
記者:
事故でもしちゃったんですか?
荒木:
いやいや、美味しいご飯とお決まりのコースで、っていうね。
ただまあ、それはそれは学生時分ではおよそ手が出せないような
高級なお店を選んでしまって、高くついたな~と。
記者:
どうしてそんなに高いところ選んじゃったんですか?
荒木:
見栄でしょうね。
記者:
ご住職・・・執着の塊ですね(笑)
荒木:
若者なんか執着の塊ですよ、そんなもん(笑)
バイトそのあとめっちゃ頑張りましたね。

記者:
荒木さんからも俗っぽいお話を頂けてこちらは大満足です。
Bows-Cafeという居場所
記者:
そういえば、2人はボウズカフェというイベントをやっているらしいですね?
河口:
相当わざとらしいな、君(笑)
記者:
いちおう活動の紹介もしたいな~と思って。
荒木:
でももう45回も続いてますからね。
記者:
45回も続くイベントってすごいですね。
荒木:
Bows-Cafeというイベントは、ただただお話する会です。
Cafeなんていうから、ちょっと大袈裟なんですけどね。
世の中から、お寺が最近遠くなってきているんです。
昔は境内で缶蹴りとか隠れんぼしたりして、子ども達が
賑やかにお寺で走り回るのが当たり前の風景でした。
河口:
ご先祖さまのことを、住職がよく知っていた時代ですわ。
お子さんやお孫さんが知らなかった、その人のお父さんや
おじいちゃんのことを、お寺に聞くとようわかったんです。
今は本当にお葬式のときに呼び出されるだけの存在に
なってしまっているのが現状かもしれませんが、先の見えない
時代には、ちょっと息抜きが出来る場所が必要やと思います。
荒木:
私らが話をするというよりも、皆さんが想い想いの話をされて
私たちもまたひとりの人として語り、聞き合っています。
最初は、お寺のルールや、宗教について知っていることが多い人が
ご自身の知識の深さを確かめるために来られたり、布施をもらって
当然やと思う坊主に文句を言うたる、みたいな方もいらっしゃいました。
そうした時期を経て、今は4年続いていますが、穏やかな場になって
自分が自信を失っていた時期のことや、うつ病になって苦しんでいた
ということをはじめてこの場所で口に出せたなんていう人もいました。
河口:
最初は僕らも緊張しましてね。何を聞かれるか分かりませんから。
来るときには、ちょっと緊張して、今日も上手に話さないと、とか
プレッシャーに感じている時期を経て、心地良い場になってきました。
僕らも、ええかっこしなきゃいけないって思っていたんですね。
でもそうじゃない場が、みんなで出来上がってきたなと思いますね。
みんな話すのが上手だし、聞くのも上手になってきてます。
回を重ねる度に、穏やかな場でみんなの対話の質が高まっていて、
すごく安心感がある場所をつくる力がついてきたように思いますね。
記者:
・・・・・・・。
意外と真面目にやってはるんですね。
河口:
いちいち失礼なやっちゃね、きみは!(笑)
記者:
いやしかし45回続くってのはすごいことですね。
荒木:
今はそうでもないですけど、やっぱり話のまとめ役になる人は
気が気じゃないですよね。これで満足してくれたのかな~って。
男子ばっかりの会になった時があって、嫁がいかに怖いか、
って話で終わるみたいな会もありましたもんね。
獣害被害の件が出て、シカとイノシシの話だけの時とかも。
河口:
昔はテーマを決めてましたが、最近はテーマも決めずにやってますもんね。
僕らもお坊さんだから、いい話をお伝えしないとなーとか思ったりね。
勝手に自分でしんどくしちゃうことってあると思うんですけど、この場では
うつだとか、自殺だとか、少し深い話が出て来てもびっくりしないですよね。
荒木:
こういうのけっこう喜ばれているみたいでね。遠いからね、
わざわざ丹波にまで来てはくれませんが、みんな興味あるみたいです。
記者:
宿坊みたいなのはどうですかね?
泊まれるようにして、カップルで来てもらって、
Bows-Cafeで良い話して、そのあとは良いように過ごしてもらって、
大雪が降って、動けなくなって次の日に言い訳出来なくなる。
河口:
その話掘り返したいだけやろ!
まあでも、ほんまのこと言うたら、クリスマスは僕は
毎年ずっと座禅してんねんけどな。
記者:
え!そうなんですか?
河口:
嘘や。
普段もしてへんのに。
記者:
いや、普段はしてくださいよ!
2人のとてもフランクな住職が織りなす掛け合い漫才のような楽しい時間は
あっという間に過ぎていきました。
丹波のお坊さん2人に限っては、クリスマスに対抗意識はありません。
若いときにはそれなりに楽しませて頂きました。アーメン。ってことで。
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